【D Tech.09】メモリの実装方法と違い

CPUボードを選定する際、メモリは性能やコスト 、 動作の安定性に大きく影響する部品の一つです。メモリは致命的な不具合にも繋がる部品ですので、弊社のメモリ選定では非常にシビアな基準を設けて選定 ・評価をしております。一口にメモリと言っても実装方法や機能に違いがありますので、今回はこれらについてご紹介します。

<実装方法>
■DIMM(スロット)
取り外し可能なメモリモジュールで、ノートパソコンや小型のPCには主にSO-DIMMが採用されています。利点は容量の変更やベンダーの変更があっても比較的容易に変更が可能という 点です。一方で、取り外しが可能な分、振動や外力に弱く、起動不良にも繋がります。また、DIMM挿入時の基板かすなど、異物の嚙み込みも不具合の原因となりえます。対策としては、DIMM挿入時に基板の端子エッジが削れない様に、端子エッジ部の面取り等を行うことで防げます。

■Memdown(オンボードメモリ)
こちらはCPUボード上に直接DRAMを実装する方式で、SO-DIMM同様ノートパソコンなどに採用されていますが、Memdownの採用機種は比較的少ないです。ボード上への実装であるため、通常は交換や変更が出来ません。万が一 部品不良などで交換が必要な場合、再度実装しなければなりません。 その代わりに、接続は全てボード内で完結するので、接点への心配が無くなり振動や外力に強いです。更にスロットがない分、信号品質への影響が少ないと言えます。

CPUは機種によってDIMMとMemdownで対応しているメモリのバススピードが異なることがあります。例えばインテル®第11世代CPUのTigerLake-UP3では、DIMMよりもMemdownの方がバススピードの早いメモリに対応しております。弊社のHFBX-600TはTigerLake-UP3搭載品でMemdownを実現しており、メモリアクセスは非常に速いことが確認できています。


<ECCメモリ>
ECC機能とは、チップセットやCPUのメモリコントローラがシングルビットのエラーを検知し、訂正する機能 です。なお、マルチビットエラーの場合は、検出は出来ますが訂正はできません。エラーの原因は 環境放射線によりビットが反転してしまうためです。
ハードウェア的にはECC対応のCPUを搭載したボードに、ECC対応のメモリを搭載する必要があります。ECC対応のメモリはECC機能用にDRAMが 多く搭載されます。ただし、インテル®第11世代のCPUに関しては、ECC 対応のメモリを用いずに、通常のメモリの数%を使用してECC機能を実現 するIn-Band ECCという機能があります。メモリリソースをわずかながら占有するため、アプリケーションへの影響は十分に評価の上ご使用ください。