【D Tech.07】CPUボードの熱設計

 電子機器の設計において温度は、動作に支障をきたすこともある非常にシビアな問題です。そこで今回は弊社の製品に関する熱設計についてご紹介いたします。お客様の製品の設計や、ボードベンダー選定の参考になれば幸いです。

<CPUの消費電力>
 CPUの消費電力(TDP)は主にシリーズで分かれており、インテル®CPUの場合はUシリーズやIntel Atom®が主にファンレスPC向けに使用されます。cTDPというTDPが可変なCPUもあり、インテル®第11世代アーキテクチャもこれに該当しています。TDPを低く設定すればパフォーマンスも抑制されますので、十分な検証が必要です。
 CPUは特定の温度を超えるとスロットリングやシャットダウンする仕様になっているため注意が必要です。過剰に温度が上昇しないように設計することはもちろん、万が一そうなった場合のシステムの挙動は予め確認し、十分な対策が必要です。

<CPUボードの熱設計>
 CPUのヒートシンクは、CPUボードの仕様温度において規定のジャンクション温度を満たすように、サイズや形状を考え、設計しています。さらに、振動にも耐えられる様な取り付け構造を考え、設計しています。これには、CPUの熱をヒートシンクに伝えるための熱伝導シート選定も重要なポイントです。
 もう一つ重要な点として、CPUなどの発熱により、電解コンデンサやバッテリーの温度が高くなり、寿命が短くなる恐れがあります。バッテリーについては、発熱部品から離して配置することが出来ますが、コンデンサについては、機能上発熱部品の近くに配置する必要があるものも出てきます。これらについては、部品選定時に考慮することはもちろんですが、評価においても各電解コンデンサの温度測定を行い、製品寿命を満たせるか確認を行っています。

<筐体製品の熱設計>
 筐体製品を設計する際には、搭載部品の温度の高い部分を効率的に冷やすことが出来るように、設計段階でシミュレーションも利用しながら、部品レイアウトを検討していきます。温度許容範囲の狭い部品については、特に影響が出ないように注意を払います。また、それらの部品に対して、発熱しやすい部品からのあおり熱が来ないようにすることも配慮し、設計します。
 ファンを使用する場合は、使用環境による騒音への影響や交換の手間が出来るだけ減るように、必要十分な最低限の空冷で済むように選定しています。