【D Tech.05】電源回路の信頼設計

信頼性が求められるアプリケーションにおいて電源系は重要です。
今回は弊社が設計する製品における電源回路の信頼設計についてご紹介いたします。

<電源断対策>
 長期運用をされるようなお客様では”電源断”と聞くと耳が痛いかもしれません。ストレージにデータを書き込んでいる最中に電源が切れると、ファイルやファイルシステムが破損して、最悪の場合起動しなくなることもあります。
 システム全体のバックアップをお考えでしたら、第一にUPS機能のある電源を使用することをオススメ致します。CPUボード側で対策するとすれば、別途キャパシタボードを作成することなどが考えられます。ただし伸ばせても1秒前後といったところです。スーパーキャパシタを載せる事で、マイコンやSRAMといった局所的かつ超低消費電力な回路のバックアップは可能です。

 ストレージもメーカーごとにコントローラーの特色があり、電断対策を謳っている製品もあります。また、BIOSのカスタマイズによって電源断時のログを残すことも可能ですので、検討の際は弊社へご相談ください。

<突入電流対策 >
 電源投入時に突入電流が入ると電圧が降下し起動不良が生じたり、ICを破壊することがあります。CPUボードに関しては、(1) CPUボードの電源入力の突入電流、(2) CPUボードに接続される外部デバイスへ突入電流、の2つが考えられます。いずれも、突入電流による電圧降下によって、CPUボードや外部デバイスが誤動作したり、保護回路が動作してしまったりします。

 これらの対策としては、(1)であればCPUボードの電源入力部に、(2)であればCPUボードから外部デバイスへ供給する電源ラインに、MOSFETとディレー回路や専用のICを用いて、突入電流を抑制するソフトスタート回路を設けます。この回路により電圧がゆっくり立ち上がるように制御します。
 ソフトスタートの仕組みについては各社さまざまで、web上にもまとめた記事が散見されますのでそちらも参考になさってください。